お知らせ

京都大学iPS細胞研究財団 公益認定取得のお知らせ

2020.04.01

京都大学iPS細胞財団は公益認定を申請しておりましたが、本日4月1日付で内閣府より公益財団法人として認定されました。それに伴い、同日付けでiPS細胞研究所(CiRA)の職員の一部が財団に移り、本格的に活動を始めました。



1. 財団の概要

名称:和文 京都大学iPS細胞研究財団
英文:CiRA Foundation
設置者:京都大学
設立:2019年9月6日
所在地:京都市左京区聖護院川原町53番地
ホームページhttps://www.cira-foundation.or.jp
従業員数:84名(2020年4月1日時点)

主な事業内容
  • 細胞製造、品質評価、細胞保管管理及び細胞調製施設の管理・運営
  • 研究開発
  • 研究開発及び臨床応用に対する総合的支援
  • 教育訓練及び人材育成
  • 産学官及び国際交流等を通じた情報共有及び情報発信など

2. 財団の理念
「最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届ける」

  • 一日も早く患者さんにiPS細胞による医療を届けるために、細胞の製造や品質評価などの 技術を産業界へ「橋渡し」します。
  • 日進月歩で進化する技術に対応し、日々の研鑽に勤め、継続的な技術改善に取り組みます。
  • 研究開発に関する様々な情報を集約・共有することにより、臨床応用の推進、品質・安全性 の向上、コストダウンに貢献します。
  • 高い規範意識をもって公益事業を推進します。


3. 評議員・理事・監事
【評議員】(4名)
阿曽沼 慎司(京都大学 理事・産官学連携本部長)
奥 正之(三井住友フィナンシャルグループ 名誉顧問)
齋藤 英彦(国立病院機構名古屋医療センター 名誉院長)
松本 紘(理化学研究所 理事長)

【理事】(7名)
理事長 山中 伸弥 (京都大学iPS細胞研究所 所長)
業務執行理事 菅 政之(京都大学iPS細胞研究所 所長補佐)
業務執行理事 高須 直子(京都大学iPS細胞研究財団)
理事 畠 賢一郎(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 代表取締役 会長執行役員)
理事 日戸 興史(オムロン株式会社 取締役執行役員専務 兼 グローバル戦略本部長)
理事 西田 幸二 (大阪大学大学院 医学系研究科・医学部・脳神経 感覚器外科学・眼科学教授)
理事 松山 晃文 (藤田医科大学 医学部 再生医療学講座教授)

【監事】(2名)
國谷 史朗(大江橋法律事務所 弁護士)
新川 大祐(北斗税理士法人 公認会計士・税理士)



4. 初年度事業計画

(事業実施の基本方針)
  • 組織運営および事業実施の基盤構築
  • 国民および関連団体への周知
  • 質の高いiPS細胞事業の提供
(事業の概要)
  1. 1. iPS細胞事業(iPS細胞及び分化細胞の製造、細胞の品質評価・保管管理、人材育成)
  2. 2. 次世代iPS細胞研究開発事業(高品質な臨床用iPS 細胞作製のための研究開発、研究開発用iPS細胞の提供)
  3. 3. iPS細胞技術の情報共有・普及(iPS細胞技術や薬事規制の情報共有、専門的セミナー等の開催専門的事務支援事業)


5. 収支計画
初年度の財団運営経費は、およそ18億円を見込んでいます。2022年度までは大半を公費で賄い、不足分は寄付金のほか細胞関連事業や賛助会費等による自己収入で補います。

公益認定を受けて、CiRAから継承する「橋渡し」機能を推進するため、iPS細胞研究基金(iPS基金)の残高のうち100億円を財団に移し替えます。その使途は、従前のiPS基金が掲げる目的に限定します。財団としても橋渡し機能の更なる推進のため、iPS基金とは別に、独自に寄付を募ります。

今後は寄付や自己収入を徐々に拡充しながら、公費への依存度を減らしていきたいと考えています。財団の理念のひとつである「良心的な価格」は維持し、これまで通り企業へは一株10万円、研究機関へは無償でiPS細胞ストックを提供してまいります。



6. 理事長挨拶
ヒトiPS細胞が発表されてから10年以上が経過し、多くの研究者の努力や患者さんのご協力により、iPS細胞を使った技術で新しい治療法の開発が進んでいます。いくつかのプロジェクトでは患者さんにご協力いただき、安全性と有効性の評価を行うまでに至っています。これまでは京都大学iPS細胞研究所(CiRA)がiPS細胞の製造や品質評価などの技術を産業界へ「橋渡し」する機能を担ってまいりました。今後はこれら橋渡しを担っていたメンバーが当財団に移籍し、CiRAをはじめ、再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトに関わる様々な研究機関や企業の皆様と研究開発に関する情報を集約・共有させていただくことによって、臨床応用の推進に貢献してまいります。

橋渡し機能の中心である細胞調製施設(FiT)では、安全性の高いiPS細胞を製造・備蓄し、全国の研究者や企業に公平かつ適正な価格で提供いたします。このiPS細胞ストックプロジェクトは国の支援により行われ、日本赤十字社、日本骨髄バンクおよび、さい帯血バンクから多大なるご協力をいただき、2020年4月現在で7名の方から作製した27株のiPS細胞を提供しております。これまでに加齢黄斑変性に対する臨床研究、パーキンソン病に対する治験、角膜上皮幹細胞疲弊症に対する臨床研究、そして虚血性心筋症に対する治験において、このiPS細胞ストックが使われました。今後も患者さんにとって最適なiPS細胞を使っていただけるように、研究機関や企業の皆様とよく相談しながら、様々なiPS細胞を提供してまいります。 ご理解ご支援賜りますようお願いいたします。

京都大学iPS細胞研究財団
理事長 山中 伸弥

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