お知らせ株式会社メガカリオンから企業治験に用いるiPS細胞由来血小板の製造を受託しました

2020.06.22
研究活動

 公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(所在地:京都市左京区)は、本日、株式会社メガカリオン(所在地:京都市下京区)から、同社が実施を予定する企業治験に用いるため、当財団の保有するiPS細胞ストックを原料としたヒト(同種)iPS細胞由来血小板の製造を受託する契約を締結しました。

 この治験は、血小板減少症の患者さんを対象として2021年に実施することが予定されており、本製造受託においては、治験に用いる製品及びその非臨床安全性評価に用いる製品の製造を実施することとしています。

 血小板は、血液に含まれる成分の1つで、血管が損傷した場合に傷口で凝集し、出血を防ぐ機能を持ちます。なんらかの原因で血小板が減少すると、血小板の輸血が必要となる場合があり、現在はその供給を献血に頼っています。ところが、献血由来の血小板では、まれに、免疫反応等により使用できない例があり、また、血小板製剤の安定供給の観点からも、血小板を人工的に製造することは、医療の質の向上のため極めて重要です。

 iPS細胞から血小板を製造することについては、従来、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)江藤浩之教授らによって研究が進められており、2019年からは、京都大学医学部附属病院の高折晃史教授らとともに、血小板輸血不応症を合併した再生不良性貧血の患者さんにおいて自己由来iPS細胞から作製した血小板の安全性等を確認する臨床研究が実施されてきました。株式会社メガカリオンは、日本と世界の医療インフラの進展に貢献するため血小板製剤の実用化を目指すベンチャー企業であり、江藤教授らとともに、血小板製品の開発を進めています。

 京都大学iPS細胞研究財団は、産学と連携し、本製品を含むiPS細胞を用いた再生医療が一日も早く医療現場に提供されるよう、取り組んでいきます。

公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(CiRA_F)について

 京都大学iPS細胞研究財団(CiRA_F)は、最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届けることを理念として掲げ、2020年4月に、国立大学法人京都大学から独立して活動を開始した公益財団法人です。CiRA_Fは、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が2013年度から実施してきた再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトについて、事業譲渡を受け、引き続き推進しています。このプロジェクトでは、HLA(ヒト白血球型抗原)型を、ホモ接合体(免疫拒絶反応が起きにくい組み合わせ)で持つ健康なドナーからiPS細胞を作製し、あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能と判断できるiPS細胞株をアカデミア・企業等の皆様に提供しています。CiRA_Fは、iPS細胞を用いた製品の製造、品質評価、保管等の受託や、製造に関するSOPの公開等に取り組み、再生医療の実用化に貢献します。

株式会社メガカリオンについて

 京都大学、東京大学の発明によるヒトiPS細胞から血小板を産生する技術の臨床応用を目指して2011年に設立されました。感染等のリスクを排したヒトiPS 細胞由来血小板製剤を工業的に大量生産し、少子高齢化による献血不足が懸念される先進国や、すでに血小板製剤の不足が社会問題化している途上国等の世界の医療現場へ供給することを目指しています。

 2013 年より産業革新機構(現、株式会社INCJ)の支援を受けるとともに 2015 年には、「世界の医療分野における我が国の国際競争力の強化に寄与する取り組みであるとともに革新的な再生医療に関する研究開発であり、その事業化の推進が国家戦略特区の目標に合致する」として、国家戦略特別区域法に基づく特定中核事業の適用第一号案件として内閣総理大臣より認定を受けました。

 また2020年2月には内閣府主催の第2回日本オープンイノベーション大賞において当社の取組みがパートナー各社とともに科学技術政策担当大臣賞を共同受賞しました。

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お問合せ先

公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(CiRA_F)企画推進室
TEL: 075-761-3363
Email: promotion-g*cira-foundation.or.jp お手数ですがメール送信の際 * を@に変えてください。

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