iPS細胞を使った治療を 患者さんに1日でも早く届けたい
iPS財団 理事長 山中伸弥(やまなか しんや)(2012年ノーベル生理学・医学賞受賞)
再生医療の普及に挑戦する「iPS財団」に、継続的なご支援を

公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団/理事長 山中伸弥)は、iPS細胞の製造や品質評価などの技術を産業界へ「橋渡し」するための組織です。国立大学法人京都大学 iPS細胞研究所(所長 山中伸弥)の開発研究・医療応用に関する部門を分離して設立され、2020年4月に公益認定を受けました。iPS細胞技術による医療を「誰もが良心的な価格で受けられる」ように、毎月1,000円からの寄付でご支援くださる方を募集しています。本ページに、知っていただきたい内容をまとめました。少しだけ、皆さんのお時間をいただけますか?

研究者としての原点は、治せなかった患者さんとの出会い

2020年4月に活動をスタートした「iPS財団」の理事長 山中伸弥が目の前にいる患者さんを今の医学では治せないという現実に直面したのは、30年以上前。医学部を卒業後、整形外科の研修医として働き始めた頃でした。
関節リウマチや脊髄損傷など、治療法がなく苦しんでおられるたくさんの患者さんと出会いました。どんな名医でも、今の医学で治せない病気や怪我には、お手上げです。患者さんに何もしてあげられず、自分は無力だと感じました。病気の原因を解明し、いつかこのような患者さんを治せるようになりたいと思って、臨床医をやめて医学研究者の道を目指しました。
この頃、山中自身も、肝臓の病気で父を亡くしています。こうした思いが、「iPS細胞」についての山中の研究に続いていきました。 山中教授の研究グループが作製したiPS細胞とは?
iPS細胞は「人工多能性幹細胞」の略です。ヒトから採取した血液などの体細胞にごく少数の因子を導入し、培養して作ります。「さまざまな体の組織や臓器の細胞に変化する」「ほぼ無限に増殖する」という2つの特徴があり、再生医療や新薬の開発に応用されています。 この技術を研究・応用するべく、京都大学は2010年にiPS細胞研究所を設立。山中が所長に就任しました。2020年に同研究所から一部の部門(細胞調製施設など)を独立させ、現在は研究所とiPS財団が二人三脚で実用化を進めています。 iPS細胞研究の現状は?

山中をはじめ、研究者たちは、革新的な研究に取り組んできました。

「基礎研究」
2006年には世界で初めて、マウスの皮膚細胞からiPS細胞の作成に成功したとの論文を発表しました。さらに2007年には、ヒトiPS細胞の作成に成功したことを発表しました。2012年には山中伸弥がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。その後も、iPS細胞研究所や国内外の大学・研究機関で、新たな基礎研究が展開されています。
ⓒ京都大学教授山中伸弥

「臨床研究・治験」
iPS細胞の医療応用にむけて、ヒトを対象とする臨床研究や治験が必要です。理化学研究所の研究成果をもとに2014年にスタートした臨床研究を皮切りに、iPS細胞研究所や他の研究機関の成果について、さまざまな臨床研究・治験が行われるようになってきました。
ⓒ京都大学iPS細胞研究所森実飛鳥 「細胞製造」研究所では、臨床研究や治験で使われる安全性の高いiPS細胞を製造するという前人未到のプロジェクトに、技術者たちが精力的に取り組み、細胞の製造や品質評価の高度なノウハウを確立してきました。現在、iPS財団がこのプロジェクトを引き継いでいます。 iPS細胞を使った再生医療の可能性

iPS細胞を使った再生医療では、iPS細胞を体の細胞や組織に分化させて患部に移植することで、病気や怪我で損なわれた体の機能を補うことを目指します。 従来の医療とは異なり、「生きている細胞」を医薬品として使い、患者さんに移植するのです。
これまで有効な治療法がなかった患者さんに、iPS細胞による再生医療を届けられるかもしれない。そうすれば、根治できなかった病気やケガが根治できるかもしれない。
数多くの研究者や技術者たちが、患者さんの期待を受けながら、一心に努力してきました。 ⓒ京都大学iPS細胞研究所

再生医療を「みんなの手が届く治療法」に

そんな研究者・技術者たちの必死の努力が実るよう、山中がいま取り組んでいるのが、「再生医療をいかに良心的な価格で実現するか」という課題です。

iPS細胞を使った再生医療では基礎研究・臨床研究ともに日本が世界をリードしており、これを産業界に橋渡しし、実用化をすすめることが財団の目的です。 医学研究の実用化を阻む、「死の谷」とは?
知的財産の確保や実用化を担う企業探し、患者さんを対象とした研究の規制対応や資金確保など、医学研究の実用化には、多くの課題があります。

「再生医療で予想される課題」
・原料となる細胞の確保
・細胞製造に要する莫大な費用の低コスト化
・安定した細胞の品質確保
・高い技術を持つ技術者の確保 これらの課題を乗り越えられず、実用化されない研究成果も多数あります。
これを、「死の谷」と呼ぶこともあります。
国が基礎研究として支援する段階は過ぎているが、企業から大規模な投資を呼び込める段階には至っていない。
そんな技術が、「死の谷」を越えられない現実があります。 先端的な医療が、高額化しています

近年、科学技術の発展によってバイオ医薬品など先端的な医療が実用化され、これまで治療法のなかった病気が治療できるようになっています。一方、最新の技術にはコストがかかる場合が多く、医療の値段が高額化している問題もあります。

・保険制度の整っていない国では、治療費を払えずに先端医療を利用できない患者さんも
・日本のように保険制度が整っている国では、先端医療の高額化が保険制度を脅かす懸念も

現実に、ある病気の治療のために1人の患者さんにかかる薬価が1億円以上、という治療法も出てきています。
iPS細胞を使った再生医療も、これらと同じように「お金のある人しか受けられない医療」になってしまう可能性があるのです。

患者さんに「1日でも早く」 「良心的な価格で」この技術を届けたい。
iPS細胞技術による再生医療に多くの企業に挑戦いただき、より良い治療法の実用化をみんなで目指す状況をつくりたいと考えています。 そのためには公益的な立場で、大学で生まれた技術を産業界へ渡す「橋渡し役」が必要です。

“誰もが使える”技術にするため、実用化へ「橋渡し」

そこで私たちは、細胞製造や品質評価などの技術を産業界へ「橋渡し」する、公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)として活動をスタートしました。
現在は、公的研究費、細胞製造等の活動による収入、そして寄付金を主な財源として活動しています。
法人名:公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)
設立:2019年9月(2020年4月に公益認定)
住所:京都市左京区聖護院川原町53番地
電話番号:075-761-3366(寄付担当:社会連携室)
理事長:山中伸弥
業務執行理事:高須直子・菅政之

私たちが目指すのは、iPS細胞研究の成果が、必要とする世界中の患者さんに届くこと。
誰もが適正な費用で再生医療の恩恵を受けられ、今は治せないような病気や怪我に苦しむ患者さんが、少しでも減る世界です。 iPS財団の活動

「iPS細胞の製造・提供」
・細胞調製施設で安全性の高いiPS細胞を 製造し、品質が保証されたiPS細胞ストック (再生医療の原料となるiPS細胞)を良心的 な価格で提供
・iPS細胞や分化細胞の製造や保管、ゲノム 解析などの品質評価 「my iPS細胞および生産技術の開発」
・患者さん自身の体細胞から作られたiPS 細胞の提供を目指した、一人100万円の my iPS細胞の実用化研究
・研究開発用のiPS細胞の樹立・提供 「関連技術の共有・普及」
・薬事規制等のアドバイス
・研修会や情報交換会の開催
・iPS細胞の医療応用に有用な情報や資料、 培養トレーニングの提供 私たちは、日々進化する技術に対応するために日々の研鑽に努め、研究開発に関する様々な情報を集約・共有することで、臨床応用の推進、品質・安全性の向上、コストダウンに貢献します。 iPS細胞研究所との違いは?
iPS細胞研究所は、引き続き革新的な研究と、次世代を担う研究者の育成に取り組んでいます。
私たちiPS財団は、細胞製造や品質評価などの技術を産業界へ「橋渡し」する部門を研究所から独立させて活動をスタートした、新しい組織です。
研究所と財団が連携して、再生医療の普及を目指します。 iPS細胞研究所内にiPS財団のオフィスを設け、活動を開始した

良心的な価格で再生医療を届けるため、寄付で応援ください

そんな私たちの挑戦に立ちはだかる高い壁が、長期的な資金の確保です。
これまでiPS細胞を製造してきた細胞調製施設では、国の競争的資金から多大なるご支援をいただいてきました。今後も公費は活用させていただくものの、長期的に資金が配分され続けるかは不透明です。
「死の谷」を越えるために、また先端的な技術による高コスト化を少しでも抑えるために、公的な研究費や企業からの資金に加えて、多くの方々からの寄付金も活用させていただきたいと考えています。
これが、iPS細胞を使った再生医療の1日でも早い実用化を進め、高額化を抑える力になると考えています。 患者さんのために、
必死で頑張っている技術者がいます
「業務執行理事 高須直子」
iPS財団の理事として、iPS細胞の製造・提供などを統括しています。研究者と違って脚光を浴びることはありませんが、患者さんのために必死で頑張っている技術者たちがいます。どうか、あなたのお力をお貸しください。 細胞調製施設 ユニット長 大迫洋平
細胞調製施設のメンテナンスや、細胞のつくり方の文書化(手順書づくり)などを担当しています。財団の職員は「新しい医療を必要とする患者さんのために」というひとつの使命で繋がっています。今後も、高い品質と安全性を有する細胞をつくり続けられるように研鑽します。あたたかいご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。 社会連携室長 渡邉文隆
ご寄付の受付窓口を担当しています。私自身も長男が先天的な病気を持って生まれて、それがご縁でiPS細胞の技術開発をサポートするお仕事をしています。10年後、寄付者の方々に誇りに思っていただけるように、再生医療の普及を目指します。 ご寄付で実現できること
・実用化に不可欠な「産業界への橋渡し機能」を、安定した組織体制で続けられる
・革新的な薬の高額化が進む中、良心的な価格でiPS細胞等を提供できる
・今の医療では治せない患者さんに、新しい医療を届けられる日が近づく

※ご寄付は、「iPS細胞の製造・提供」「my iPS細胞および生産技術の開発」「関連技術の共有・普及」の3つの公益目的事業と、財団の管理費用(50%を超えない範囲)に限定して活用させていただきます。 iPS細胞の保管に不可欠な、細胞の冷凍保存装置 脈々と受け継がれてきた医学研究のバトンを、多くの人々の願いをこめて、しっかりと次世代に渡したい
皆さんと一緒に、2030年までにiPS細胞による新しい医療をつくりたい

そんな想いから、毎月の寄付で財団をご支援くださる方を募集しています。
iPS細胞技術が、「死の谷」を越えるために。そして最終的に、iPS細胞による再生医療を多くの人にとって手の届くものにするために、どうかご支援をお願いいたします。

病気で苦しむ患者さんに、1日でも早く新しい治療法を

病気で苦しむ患者さんにとっては、一日でも早く新しい治療法が開発されることが希望です。
その日を目指して財団が安定した活動を続けるため、公費による多大な支援が一つの区切りを迎える2022年度末までに、最低でも毎年6億円の寄付金を確実に確保できるようにしたいと考えています。
これが、私たちが継続的な「毎月のご寄付」を募っている大きな理由です。 よくいただくご質問

Q:毎月寄付の解約はできますか?
A:できます。振替日の1〜2ヵ月前(カードの種類によって異なります)までに、iPS財団社会連携室までご連絡ください。

Q:税控除は受けられますか?
A:京都大学iPS細胞研究財団は、2020年4月に内閣府から「公益財団法人」の認定を受けました。個人からのご寄付の場合、所得税(所得控除)や住民税(京都府のみ)、相続税などの控除の対象になります。(税額控除は2020年8月現在では適用されません)

Q:領収書はもらえますか?
A:はい。毎月のご寄付の場合は、翌年1月末をめどに1年分の明細のついた受領証をお送りしています。 患者さんのための再生医療をみんなで実現したい 私の父は、肝臓の病気のため58歳で亡くなりました。
ミシンを製造する町工場の仕事をしていた時の怪我で、輸血をしたあと肝炎になり、やがて肝硬変になってしまったのです。
医者になったのに、自分は何もできませんでした。この無力感が、「研究者として、治療法のない病気や怪我で苦しむ方々を助けたい」という志を抱くきっかけになりました。
ヒトのiPS細胞の作製を発表して以来、その志は、私ひとりだけのものではなくなりました。たいへん多くの患者さんからのご期待を受けて、多くの研究者・技術者・製薬企業が実用化に取り組んでいます。大学や政府の方々、他の研究機関の方々とも、一緒に走ってきました。
寄付者の方々のお力があったからこそできたことも、たくさんあります。
こうしたすべての方々の力を合わせて、1日でも早く、また良心的な価格で、新しい医療をつくりたいのです。
皆様の継続的なご支援を、心からお願い申し上げます。
公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 理事長 山中伸弥