30年以上製薬会社で医薬品の研究開発に携わってきました。
薬は患者さんの病気を治したり、進行を抑制したり、症状を抑えることができます。
今も新しい医薬品の研究開発が日夜続けられています。
しかし、薬では絶対に治せない病気もあります。機能を司っている細胞や組織自体が無くなってしまった時です。例えば、脳の病気でパーキンソン病という病気があります。
たくさんの薬が出ていますが、ドパミン神経という病気のもとになる細胞はどんどん減っていきます。
そしてその細胞が非常に少なくなってしまったら、今の薬は効かなくなってしまいます。
また、今私たちは、目でものを見ていますが、光を感じる細胞が無くなってしまったら、これも、薬では元に戻せません。
こういった病気に対して、薬を作る立場からは無力感を感じるしかなかったのですが、iPS細胞ができて状況が一変しました。
無くなった細胞や組織を作って移植できるわけです。
今、この後ろでは、まさに網膜の製造をしているところです。
壁の向こうでは、パーキンソン病用のドパミン神経を作っています。
こうした細胞や組織を患者さんに移植すれば、機能が回復したり、薬が再び効くようになることが期待できます。
この再生医療が1人でも多くの患者さんに届けられるよう全力で取り組んでいるところです。
住友ファーマは、「人々の健康で豊かな生活のために、研究開発を基盤とした新たな価値の創造により、広く社会に貢献する」ことを企業理念とし、精神神経領域、がん領域および再生・細胞医薬分野を研究重点領域として、革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。