お知らせ京都大学iPS細胞研究財団 初の国外提供
韓国・CHA医科学大へのHLAホモiPS細胞ストック提供が決定

2021.05.10
研究活動

 公益財団法人京都大学 iPS細胞研究財団®(所在地:京都市左京区)は、韓国のCHA(チャ)医科学大学との間で2021年4月14日、下記を目的とする共同研究契約を締結しましたので、ここにお知らせいたします。

・京都大学iPS細胞研究財団からCHA(チャ)医科学大学への、iPS細胞ストックの提供

<発送当日の様子はこちら>

1.内容

 当財団で製造しているHLAホモiPS細胞ストックの研究用株を、今回初めて海外の研究機関に提供することとなりました。提供先である韓国・CHA(チャ)医科学大学の宋知煥(ソン・ジファン)教授は、主にiPS細胞を用いてハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳卒中などの複数の神経変性疾患に対する幹細胞治療法の開発を研究しています。宋教授のグループは、当財団のiPS細胞ストックを用いてこれらの疾病を研究し、その後、あらためて同iPS細胞ストックの臨床用株の入手を予定しており、2025年までに臨床試験を行うことを目指しています。

2.背景

 iPS細胞ストックプロジェクトは、2013年からCiRAにおいて国家プロジェクトとして実施され、2020年4月の当財団の本格的な活動開始に伴い、当財団へ移管されました。これまでに医療応用を目的とした27種類のHLAホモiPS細胞ストックを作製し、国内の研究機関に提供してきました。実際にこのiPS細胞ストックを用いた臨床研究として、神戸市立神戸アイセンター病院の加齢黄斑変性や、京都大学医学部附属病院のパーキンソン病を対象とした研究などがあります。また、当財団では、iPS細胞を用いた治療を広く世の中に普及するため、iPS細胞提供を事業として展開するにあたり、作製したiPS細胞の「医薬品等の製品化」や「臨床研究や治験に用いること」に関してあらかじめ血液提供者(ドナー)から同意を取得しています。また製造したiPS細胞ストックの品質評価も十分に行ったうえで出荷を行っています。これらのことが総合的に評価され、今回CHA(チャ)医科学大学からiPS細胞ストック提供の依頼を受けるに至りました。

3.これまでと今後の流れ

①契約締結
CHA(チャ)医科学大学と当財団は、当細胞提供において共同研究契約を、2021年4月14日に締結しました。

②当財団ストックを用いたCHA医科学大学での研究期間
細胞到着後~2021年7月29日まで(延長の可能性あり)

4.公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(CiRA_F)について

 当財団は、最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届けることを理念として掲げ、国立大学法人京都大学から一部機能を分離して2020年4月に活動を開始した公益財団法人です。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が2013年度から実施してきた再生医療用iPS細胞ストックプロジェクトについて、事業譲渡を受け、引き続き推進しています。このプロジェクトでは、HLA(ヒト白血球型抗原)型を、ホモ接合体(免疫拒絶反応が起きにくい組み合わせ)で持つ健康なドナーからiPS細胞を作製し、あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能と判断できるiPS細胞株をアカデミア・企業等の皆様に提供しています。当財団は、iPS細胞を用いた製品の製造、品質評価、保管等の受託や、製造に関するSOP(標準作業手順書)の公開等に取り組み、再生医療の実用化に貢献します。

5.CHA医科学大学について

  CHA医科学大学は1996年に医科大学として設立され、現在では幹細胞や再生医療、生殖医療に特化した健康科学分野において韓国を代表する名門大学です。 CHA医科学大学とCHA医療財団 は、ES細胞と間葉系幹細胞(MSC)を用いた活発な研究と臨床応用が有名な機関です。

iPS細胞ストックに関するお問い合わせ先

公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団(CiRA_F)
広報室 中上依美里(なかうえ えみり)
TEL: 075-761-3357
Email: contact*cira-foundation.or.jp お手数ですがメール送信の際 * を@に変えてください。

研究内容に関するお問い合わせ先

CHA医科学大学 医生命科学科
宋知煥(ソン・ジファン)教授 ※英語もしくは韓国語
TEL: +82 31 881 7140
Email: jsong*cha.ac.kr お手数ですがメール送信の際 * を@に変えてください。

pdf プレスリリース