Uehiro Future Scientists Program 研修生インタビューVol.4
―iPS細胞研究で広がるミクログリア・認知症研究―

研修

今回ご紹介するのは、名古屋市立大学 医学研究科 修士2年の飯田琢斗さんです。飯田さんは、薬学部をご卒業され、現在は修士課程で医学研究科認知症科学分野の研究に取り組まれています。

「将来の夢は研究者」と小学校の卒業文集に書くほど、幼いころから研究の道に興味があった飯田さん。研究者を意識したきっかけは、小学5年生のときに「山中伸弥教授・ノーベル賞受賞」のニュースが強く印象に残ったことで、当時ニュースや新聞で概要を確かめたといいます。

「小学生にも理解しやすい内容で紹介されていて、iPS細胞の可能性と研究者という道に強い関心を持ちました。」

飯田琢斗さん
名古屋市立大学大学院 医学研究科
脳神経科学研究所 認知症科学分野 修士2年

飯田さんが所属する名古屋市立大学・齊藤研究室と、当財団の研究開発センターは、以前から共同研究を進めており、飯田さんも一員として携わっています。

脳の中にある「ミクログリア」という免疫細胞は、脳内を監視し、病気の原因となる物質の一部を取り込んで分解する働きがあるとされ、認知症の新規治療法開発に向け、その役割が注目されています。共同研究では、当財団が ヒトiPS 細胞からミクログリアを作製し、齊藤研究室に提供。飯田さんらは、そのミクログリアをマウス脳内に投与し、生着や増殖の状況を解析しています。

「共同研究で扱ってきた細胞が、どのような工程や工夫を経て私たちの手元に届いているのか。ミクログリアがどのように作られているのかを自分の目で確認したいという思いが強まり、本プログラムへの参加を決めました。研修では、ヒトiPS細胞の培養、ミクログリアへの分化誘導、品質管理など、一連の工程を体験しました。また、ヒト iPS 細胞から作る脳オルガノイド(脳の一部の構造を模したもの)の作製にも挑戦しました。」

「ヒトiPS 細胞は扱える施設も限られ、維持が難しい細胞です。実際に専門的に細胞を扱っているiPS財団で、学んで細胞に触れることができたのは貴重な経験でした。今回の経験は、自分の研究者人生にとって大きな一歩になりました。」

修士課程終了後、飯田さんは製薬企業で研究を続けることが決まっており、研究者としてのキャリアをさらに広げていきたいと語ってくれました。

「今ある生活を便利にしたり維持したりする職業も当然大切ですが、私は“まだ世の中に存在しない薬や治療法を生み出す仕事”に強い興味を感じています。研究者として、自分の人生の長さ以上に、誰かの人生に良い影響を与え続けたい。もちろん責任はありますが、人生最期の瞬間に『多くの人の大切な人生を支えられた』、と思えたなら、きっと幸せだと思います。」


当財団では、引き続き、「Uehiro Future Scientists Program」を通じて大学生・大学院生のキャリア形成を支援してまいります。