武田薬品工業株式会社から臨床試験に用いるiPS細胞由来CAR-T細胞の製造を受託しました
研究活動
公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(所在地:京都市左京区)は、本日、武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区。以下「武田薬品」という。)から、当財団の保有するiPS細胞ストックを原料としたiPS細胞由来キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子改変T(CAR-T)細胞(iCART)の製造を受託する契約を締結しました。
CAR-T療法は、免疫細胞の一種であるT細胞の遺伝子を特定のがん細胞を認識して破壊することができるように改変して用いる免疫療法の一種です。従来の自家CAR-T療法は、患者さんの血液から採取したT細胞を遺伝子改変して投与するため、治療開始までに長い時間がかかります。
iCART療法は、京都大学iPS細胞研究所(所在地:京都市左京区、以下「CiRA」(サイラ)と武田薬品の共同研究プログラムであるT-CiRAにおいてCiRAの金子 新(かねこ しん)准教授をリーダーとする金子プロジェクトから2019年に武田薬品に継承された研究成果を元に、武田薬品の研究チームが開発した製造法を用いて、iPS細胞マスターセルバンクから均一なCAR-Tを大量生産・ストックすることで、治療が必要な患者さんへの迅速な提供を可能とするものです。金子 新准教授は現在も武田薬品のアドバイザーとして本プログラムに参画しております。今回の臨床試験に用いるiCARTの製造は、これらの研究成果に基づき財団の細胞調製施設(FiT)において実施します。
京都大学iPS細胞研究財団は、産学と連携し、本製品を含むiPS細胞を用いた再生医療が一日も早く医療現場に提供されるよう、取り組んでいきます。
武田薬品工業株式会社について
武田薬品工業株式会社は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、希少疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、下記のウェブサイトをご覧ください。
武田薬品工業株式会社