Yanai my iPS製作所 開所のお知らせ
寄付関連
iPS細胞技術を国内外の研究機関・企業へ提供している、公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(iPS財団)では、主な事業として、「iPS細胞ストックプロジェクト」、「my iPSプロジェクト」を推進しています。
柳井正氏(株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)のご寄付をもとに、本年4月、my iPSプロジェクトの新施設「Yanai my iPS製作所(Y-FiT)」を大阪・中之島クロス内に設置しました。Y-FiTは5月29日に臨床研究用の細胞製造施設としての許可を近畿厚生局長より取得し、6月20日午前にY-FiTの開所式を執り行いました。
開所式では、関係者が見守る中、柳井氏、山中理事長によるテープカットを行いました。
開所式後に開かれた記者会見には、柳井氏と山中理事長が登壇し、集まった記者からの質問に答えた後、柳井氏が「未来 希望 幸福 あらゆる人にiPS細胞を」、山中理事長が「iPS細胞を医療へ」とそれぞれ書いたメッセージパネルとともに写真撮影を行いました。メッセージに込めた想いについて柳井氏は、「未来・希望・幸福は今からの日本にいちばん必要なもの。iPS細胞が画期的な治療になって成功することを祈願してこのメッセージとした。」、my iPSプロジェクトをはじめとした医療研究への支援については、「事業は社会の役に立たなければ繁栄しない。my iPSプロジェクトへの寄付を通して画期的な医療の発展・会見に貢献していきたい。」と述べました。
開所式 テープカットの様子(左:山中理事長 右:柳井氏)
記者会見の様子(左:柳井氏 右:山中理事長)
柳井氏による総額45億円の寄付の一部(約15億円)を使って設置されたY-FiTについて山中理事長は、「患者さん本人の血液から作るmy iPS細胞を使った再生医療は、免疫拒絶反応を抑える上では究極の医療。患者さんの状態に合わせて良心的な価格でiPS細胞を企業等に提供できる環境が整ったことは大きな一歩」と話しました。また来年、マウスiPS細胞の論文発表から20年を迎えるiPS細胞研究に大きな期待が寄せられていることについて、「世界中の患者さんに使っていただけるiPS細胞を、ここ日本で作り、多くの方の健康寿命の延伸に貢献していきたい。」と述べました。
午後からは開所を記念して、「iPS細胞の実用化に向けた現状と未来」をテーマとしたシンポジウムを開催しました。
集まったiPS財団の関係者約150名を前に山中理事長は、これまでの感謝を述べるとともに、iPS財団の役割・医療応用の現在について説明しました。
その後、株式会社ビジョンケア 代表取締役社長の髙橋政代氏より「網膜再生医療の現状と未来」と題して講演をいただきました。髙橋氏は2014年にiPS細胞による世界初の網膜細胞移植に成功するなど実用化に向けて課題解決に取り組まれています。この日は、約10年間で進めてきたご自身の研究や患者さんへの想い、my iPSプロジェクトへの期待について語りました。
次に当財団 業務執行理事 兼 研究開発センター長の塚原正義より、現在my iPSプロジェクトで取り組んでいる研究内容や課題について説明しました。
シンポジウムの様子(左から:髙橋氏、山中理事長、塚原センター長、花谷業務執行理事)
最後に山中理事長、髙橋氏、塚原正義センター長が登壇し、パネルディスカッションを行いました。髙橋氏は、世界初のiPS細胞を用いた網膜移植について、山中理事長とともに互いに励まし合いながら実現までたどり着いた時のことを振り返りました。塚原センター長は、早く患者さんに治療をお届けできるよう研究開発・細胞製造に取り組む意気込みを語りました。山中理事長も「一日も早く新しい研究成果を患者さんに届けたい。適正な薬価で患者さんに届けるためにも、日本中の研究者・企業が協力していく必要があり、財団はそのプラットフォームとして頑張っていきたい」と、意気込みを伝えました。
当財団は、柳井氏をはじめ多くの皆様に支えられ、この日を迎えることができました。一日も早いiPS細胞技術の実用化を目指して引き続き尽力してまいります。今後も応援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。