iPS 細胞ストック及びその分化細胞のゲノムデータ等各種解析情報の取り扱いに関する基本方針の制定について
(ドナーとなられた方へのプライバシー保護への配慮について)

研究活動

公益財団法人 京都大学iPS 細胞研究財団では、医療用iPS 細胞を作製・提供する「iPS細胞ストックプロジェクト」を進めています。このプロジェクトは、難病や大きなけがに苦しむ患者さんに対して、これまでにない新しい治療法を届けられる可能性を秘めた再生医療の発展を目指しています。

このプロジェクトで使用されるHLA ホモiPS 細胞は、健康なドナーの皆さまからご提供いただいた血液やさい帯血をもとに作製されています。ドナーの皆さまと直接お会いすることができるのは京大病院の医師や研究コーディネーターのみで、研究へのご協力についてのご説明と同意の手続きも、医師やコーディネーターが丁寧に行っています。

その過程で、「自分の個人情報が特定されないか心配です」、「絶対に個人が特定されないようにしてください」といった声を、ドナーの皆さまからいただくことも少なくありません。特に、お子さんのさい帯血をご提供いただく場合には、保護者の方から「将来、お子さんに不利益がないように」と強くご要望をいただきます。

そうした不安やリスクを感じながらも、難病に苦しむ方々の助けになるならと、勇気をもってご協力を決断してくださったドナーの皆さまには、私たちも深く感謝し、「個人が特定されることは絶対にない」というお約束のもとでご提供を受けています。

一方で、再生医療の研究や治療法の開発は、患者さんにとっても大きな希望です。その実現には、iPS 細胞の安全性をしっかりと確認することが欠かせません。iPS 細胞を作る過程では、特定の遺伝子を細胞内で働かせるため、細胞やゲノムに変化が生じていないかを調べる必要があります。このため、細胞の遺伝子解析を行い、その情報を研究者同士で共有することが、再生医療の前進につながると考えられています。

そこで私たちは、ドナーの皆さまの大切なお気持ちを裏切ることのないよう、そして研究を進める先生方の妨げとならないように、「iPS 細胞ストックおよびその分化細胞のゲノムデータ等の取り扱いルール」を定めることとしました。

遺伝子解析情報の共有によって、ドナーの皆さまの個人情報が、意図しない形で、知られてしまう可能性がまったくないとは言い切れません。しかし、こうしたリスクを可能な限り小さくするための努力を続けています。

再生医療による新たな治療法を待ち望まれている患者さんの期待に応えながら、ドナーの皆さまのプライバシーを確実に保護すること、そしてドナーの皆さまから託された思いをきちんと社会に還元していくことが私たちの責任だと考えています。

今後も、ドナーの皆さま、患者さん、研究者、すべての方にとって安心できる取り組みを続けてまいります。

iPS 細胞ストック及びその分化細胞のゲノムデータ等各種解析情報の 取扱いに関する基本方針及び取扱いルール

お問い合わせ先

公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団
データ取扱委員会事務局 Email: ips-dac*cira-foundation.or.jp
(お手数をおかけしますが、*を@に変えてください)

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