閉鎖系自動製造装置用の試薬・資材キットに関する特許登録のお知らせ
研究活動
iPS財団は、「my iPS®プロジェクト」として、iPS細胞の製造効率・低コスト化を目指し、閉鎖系自動装置を用いたiPS細胞の製造方法の開発に取り組んでいます。
このたび、 iPS財団が特許出願していた、閉鎖系自動製造装置に組み付ける、試薬・資材キットの国内特許が2025年10月23日付で登録されました。
従来、装置を用いてiPS細胞を自動製造する場合、事前準備として、必要な試薬・資材をメーカーごとに取り寄せ、安全キャビネットにおいて手作業で試薬を調製して装置用のプラスチックバッグに詰め替えた後、配管して無菌接続し、それらを閉鎖系装置に組み付けて配管回路を組み立てる作業を行っていました。
本発明の試薬・資材キットは、必要な試薬・資材一式を、手作業による事前調整なく、閉鎖系自動製造装置を用いた製造にすぐに使用可能な状態で揃えるものです。本キットを閉鎖系自動製造装置に組み付けてiPS細胞を製造することで、以下のようなメリットがあると考えられます。
①従来の無菌環境下での試薬・資材の事前調整の手間がなくなり、大がかりなクリーンルームや安全キャビネットを必要としないことで省エネ・省人化による大幅なコストダウンが期待できる。
②試薬・資材キットの各構成物は個別識別表示されるため、追跡管理が可能で、取り間違いや誤接続等を防止できる。これにより、安全性の担保と細胞の品質安定の両立が可能となる。
引き続き、iPS財団は、試薬・培地メーカー、製造用部材・資材メーカー、調達会社、保管・輸送会社等、様々な企業と協力しながら、閉鎖系自動製造装置を用いた細胞の自動製造を目指して、試薬・資材キットの開発、調達の仕組みやビジネスモデルの構築を進めてまいります。
【特許取得の概要】
| 特許番号 | 特許第7763389号 |
|---|---|
| 発明の名称 | 細胞製造装置の包装体、細胞製造方法およびそのための管理システム |
| 要約 | 本発明は、細胞加工装置に対して多くの種類の物質および容器を無菌的に準備し、容器を相互に接続する作業を軽減する包装体、それを用いた細胞製造方法並びに、当該包装体の製造のための管理システムに関する。 |
| 特許権者 | 公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団 |
| 発明者 | 平野 智子、坂井 一郎 |