お知らせ京都大学iPS細胞研究財団のiPS細胞ストック 卵巣がん治療に関する治験の第一症例目 使用へ

2021.11.11
研究活動

ポイント

  • 卵巣がん患者さんに、がん細胞を攻撃するヒトiPS細胞由来ナチュラルキラー細胞の移植が行われた
  • 京都大学iPS細胞研究財団が提供するiPS細胞ストックの細胞を用いた
  • 治験は国立がん研究センター東病院にて継続中

1.概要

公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団は、国立大学法人京都大学iPS細胞研究所(以下、CiRA)の金子新教授らの研究グループと国立研究開発法人国立がん研究センター東病院(以下、国立がん研究センター東病院)が連携し実施する、臨床試験の計画に参画してきました。この度、当財団が製造・提供したiPS細胞ストックを用いて、第一症例目の被験者への投与が完了しましたのでご報告いたします。 本件において、当財団のiPS細胞ストックに遺伝子改変を行った後、特定のがん細胞を攻撃するNK細胞に変化させ、被験者の腹腔内に投与されました。治験は国立がん研究センター東病院にて継続中で、これから安全性などの検討が行われます。

※治験の詳細や募集に関しては、CiRAのニュースリリース をご確認ください。


2.当財団の役割

当財団は本プロジェクト立ち上げ時から参画していました。当財団の主な担当は、治験品製造受託です。具体的には、製造管理、施設管理、製造・分析の方法が適切に実施されているかを検証する作業、教育訓練、製造プロセス及び文書に関するコンサルテーション、iPS細胞が移植に適した品質となっているかの判定や試験などを含むプロジェクトに関する様々な支援を行っています。


3.iPS細胞ストックと使用の意義

当財団で取り組んでいるiPS細胞ストックプロジェクトは、多くの方にとって免疫拒絶反応が起こりにくい細胞型の組み合わせを持つドナーさんに献血のご協力をいただき、iPS細胞を製造するものです。あらかじめ様々な品質評価を行った上で、再生医療に使用可能なiPS細胞株を保存します。2013年にCiRAでスタートし、2020年4月の当財団活動開始に伴い、CiRAから引き継ぎました。現在は7名のドナーから27株のiPS細胞を製造・保存しており、日本人の約40%をカバーすることが可能。ゲノム編集により更に多くの人をカバーできるiPS細胞の提供を目指しています。

当財団では今後も、最適なiPS細胞技術を、良心的な価格で届けるため、日々の研さんに努めます。