当財団について 理事長あいさつ

理事長 山中 伸弥

最適なiPS細胞技術を
良心的な価格で届ける

京都大学iPS細胞研究財団は、iPS細胞の製造や品質評価などの技術を産業界へと「橋渡し」する機能を担うため、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)から一部の機能を分離する形で2019年9月6日に設立され、2020年4月1日に公益認定(内閣府)を取得いたしました。

ヒトiPS細胞が発表されてから10年以上が経過し、多くの研究者の努力や患者さんのご協力により、iPS細胞を使った技術で新しい治療法の開発が進んでいます。いくつかのプロジェクトでは患者さんにご協力いただき、安全性と有効性の評価を行うまでに至っています。これまではCiRAがiPS細胞の製造や品質評価などの技術を産業界へ「橋渡し」する機能を担ってまいりました。今後はこれら橋渡しを担っていたメンバーが当財団に移籍し、CiRAをはじめ、iPS細胞ストックに関わる様々な研究機関や企業の皆様と研究開発に関する情報を集約・共有させていただくことによって、臨床応用の推進に貢献してまいります。

橋渡し機能の中心である細胞調製施設(FiT)では、品質を担保したiPS細胞を製造・備蓄し、全国の研究者や企業に公平かつ適正な価格で提供いたします。このiPS細胞ストックプロジェクトは国の支援により行われ、日本赤十字社、日本骨髄バンクおよび、さい帯血バンクから多大なるご協力をいただき、2020年4月現在で7名の方から作製した27株のiPS細胞を提供しております。これまでに加齢黄斑変性に対する臨床研究、パーキンソン病に対する治験、角膜上皮幹細胞疲弊症に対する臨床研究、そして虚血性心筋症に対する治験において、このiPS細胞ストックが使われました。今後も患者さんにとって最適なiPS細胞を使っていただけるように、研究機関や企業の皆様とよく相談しながら、様々なiPS細胞を提供してまいります。

当財団では以下の理念を掲げ、最適なiPS細胞技術を良心的な価格で届けることを目指します。当財団の設立趣旨および事業内容について、ご理解ご支援賜りますようお願いいたします。

2020年4月1日
理事長 山中 伸弥