お知らせ京都大学iPS細胞研究財団 セルファイバとの共同研究を開始

2022.01.24
研究活動
cellfiber_ciraf_top.png

ポイント

  • 株式会社セルファイバと、共同研究を開始
  • セルファイバの提供する、細胞を良好な状態で長期間維持する技術を使い、効率的な細胞製造工程開発を目指す

1.概要

アカデミアから産業界へiPS細胞技術の橋渡しを行っている公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団(主たる事業所:京都府京都市、理事長:山中 伸弥、以下「CiRA_F」)は、細胞量産技術開発スタートアップの株式会社セルファイバ(本社:東京都文京区、代表取締役:柳沢佑、安達亜希、以下「セルファイバ」)と、iPS細胞の増殖の効率化に関する共同研究を開始しました。本共同研究開発は、当財団の理念である「最適なiPS細胞技術を、良心的な価格で届ける」ことを実現するために有力なツールとなりうる取り組みです。


2.背景

既存のiPS細胞製造は、手作業に依存した製造工程が主流となっており、製造の合理化・効率化は喫緊の課題となっています。また、当財団が全国の研究者や企業に品質を担保したiPS細胞を良心的な価格で提供していくためには、安全で効率の良い製造手法が必須です。「『細胞をつかったものづくり』で地球規模の課題解決に貢献する」をミッションに掲げるセルファイバの「細胞ファイバ技術」や知見を活かし、①製造施設の省スペース化、②品質・回収率の改善、③プロセス開発工数の短縮、④製造工程の簡略化などを目指します。

・細胞ファイバ技術とは
髪の毛ほどの細さの中空ハイドロゲルチューブ内に細胞を封入し、培養する技術です。周囲のゲルが内部の細胞を保護しつつ過剰な凝集を防ぐため、従来培養法に比べて細胞を良好な状態で長期間維持することができます。同時に、チューブ内に閉じ込められた細胞から物質が分泌されると、その物質のみがチューブ外に放出されることから、物質生産においても有用な基盤技術といえます。

最終的には、人の手を介さずに自動化装置で細胞を培養するための工程開発や、iPS細胞を患者さんに移植する際などに必要な細胞に変化させる(分化誘導)ための方法の開発にもつながることを期待していますが、本共同研究期間内では、それらの目標に一歩でも近づくための方法を検討することとなります。 これらの共同研究を通して、当財団では今後もより一層、最適なiPS細胞技術を、良心的な価格で届けるための取り組みを強化してまいります。


3.これまでの流れ

2021年11月4日:共同研究契約を締結、共同研究を開始(2022年3月31日契約終了)
2022年1月4日:セルファイバ研究員が当財団に常駐。早期に、より効率的なiPS細胞増殖技術を確立することを目標とする。
※契約は延長の可能性あり


株式会社セルファイバについて

  • 設立年月:2015年4月1日
  • 所在地:〒113-8485 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟216
  • 代表者:柳沢 佑、安達 亜希
  • 資本金:66,650,000円
  • 事業内容:細胞ファイバ技術を用いた、細胞大量培養ソリューションの開発
  • 公式サイト:https://cellfiber.jp/

  • 本件問い合わせ先
  •  株式会社セルファイバ
      大森 亮介(おおもり りょうすけ)
     info*cellfiber.jp (お手数ですが*を@に代えてください)/ 050-3645-1640

公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団について

  • 設立年月:2019年9月6日
  • 所在地:〒606-8397 京都府京都市左京区聖護院川原町53番地
  • 代表者:山中 伸弥
  • 事業内容:細胞製造、品質評価、細胞保管管理及び細胞調整施設の管理・運営、研究開発等
  • 公式サイト:https://www.cira-foundation.or.jp/

  • 本件問い合わせ先
  •  公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団
      広報室 中上 依美里(なかうえ えみり)
     contact@cira-foundation.or.jp (お手数ですが*を@に代えてください)/ 075-312-3378
pdf プレスリリース